「我が子が発達障害かもしれない」と思い、このページに辿り着いたお父さん、お母さんもいるのではないでしょうか?
このサイトは、発達障害児の親による発達障害児の親のためのサイトです。
発達障害児の親の先輩として、今まで勉強してきたことを分かりやすく伝えていきます。
このページでは、「我が子が発達障害」という現実を突きつけられたお父さん、お母さんが知りたいであろう発達障害の治療方法を紹介します。
目次
1.発達障害とは?
発達障害は脳の機能障害であって、通常低年齢にその症状が発現するものです。
親の育て方や愛情不足、ストレスなどの心の問題から発症するものではありません。
愛着障害などが二次障害として現れることもありますが、あくまでも生まれつきの脳の機能障害です。
あなたの子育てに問題はありません!
最近「発達障害」という言葉をよく耳にするようになりましたが、発達に問題があること全般にその言葉が使われていることがあります。
「私の子どもは発達障害で〇歳まで歩けなかった」というのは発達障害ではありません。
それでは、発達障害の治療法はあるのでしょうか?
2.発達障害の治療法
初めに言っておくと、発達障害は「障害」であって「病気」や「怪我」ではないので、「治る」ことはありません。
従って、残念ながら「治療法」はありません。
しかし、「療育」によって「改善」することはできます。
症状が「改善」され、問題行動が表面化することがなくなれば、それは「治った」といっても過言ではないかもしれません。
療育の定義は、ネットで検索すれば明確なものがみつかるると思いますが、私の認識としては下記のことができるようになるために実施することだと考えます。
- 日常生活でできることが増える
- 自分の気持ちを表現できるようになる
- 問題行動を起こさせないようにする
要は「発語等自分の気持ちを伝えることが苦手な子どもに対して、そのこと自体またはそれに対するパニック等の問題行動を改善させ、本人と周囲の人間のストレスを軽減させるために実施すること」となるでしょうか。
上記の文章からは訓練等のイメージを受けるかと思います。
それはもちろんあるのですが、療育にはそれとは違う側面が大事なのだと自らの経験を通して感じました。
それでは、療育にはどのようなものがあるのでしょうか?
2-1.療育の王道「TEACCH」
「TEACCHはノースカロライナ州でなんとかかんとか」という話は省略します。
ウィキペディアから引用しようと思いましたが、TEACCHは載っていないんですね。
TEACCHは自閉症の入門書にも記載がある療育の王道ですが、書いてあることは抽象的です。
例えば、「自閉症児には理解の溝があり、その溝を埋めることによって生活しやすくなる」という説明は、「うん、うん、なるほど」と思うのですが、「ではどうやって」となると「構造化」という言葉が出てきて、いまいちピンとこないのです。
すなわち、TEACCHとは具体的な技法ではなく、体系・仕組み・環境作りといった概念と言えます。
言葉では伝わらない子どもに対して、以下のようなことを実現するための仕組みや環境作りをすることだと言えると思います。
- 子どもが行動しやすくする
- 子どもが自分の気持ちを表現しやすくする
- 子どもが見通しを立てやすくする
上記に対して、例をあげて説明します。
2-1-1.子どもが行動しやすくするためには
例えば、片づけを全くしない子どもに対して片づけをさせたいと思います。
子どもが片づけをしない(できない)理由としては様々なものがあると思いますが、「何をどこに片付けていいのか分からない」という理由が考えられます。
その場合は片付ける箱を用意して、その箱に入れるものの写真なり絵を貼っておくという環境作りが考えられます。
「そんな環境に慣れさせると、それがない所では片付けができなくなるのでは」という意見がありそうですが、まずできる(成功させる)ことが大事です。
子どもにいきなり片付けろと言うのは、自転車に乗れない子どもにいきなり乗れと言っているようなものです。
自転車に乗れるようになるには、まずコロ付の自転車に乗れるようになり、それからコロを外して練習するといった段階が必要です。
2-1-2.子どもが自分の気持ちを表現しやすくするためには
発語がない子どもは自分の要求を伝えることができません。
例えば「何か飲みたい」は伝わったとしても、それがお茶なのか牛乳なのかを伝えることができません。
自分が飲みたいものと違うものを親が持ってくると、パニックを起こします。
これは、本人にとっても親にとっても相当なストレスになります。
そこで、子どもに絵カードを使うことにより自分の要求を伝えることを教えます。
ここでも「絵カードに頼ってしまって、発語がなくなるのでは」という意見がありそうですが、絵カードによって自分の要求が伝わることを覚えた子どもは、もっと手っ取り早い言葉(単語)で要求を出すようになると思います。
2-1-3.子どもが見通しを立てやすくするには
発達障害の子どもは、見通しが立たないことが苦手です。
これから何が起こるのか、何をするのかが分かっていると安心して過ごせますが、そうでないと不安でいざ予想していないことが起こるとパニックを起こすことがあります。
この対処として、スケジュールの活用があります。
我が家でも以下のようなスケジュールを娘が3歳の頃から使っています。
始めた当時も今もこのスケジュールを眺めて、書いてある言葉をつぶやいたりして、確認しているようです。
また、我が子の入学式のときには先生が入学式の進行表を作ってくれて、入学式の間それを見せることにより、問題なく過ごせることができました。
パニックを起こしてからそれを静めるのは大変ですが、このような環境作りによりそれを防ぐことが可能です。
2-2.応用行動分析「ABA」
本人が行動しやすいような周りの環境作り(構造化)が、TEACCHの概念と言えます。
それに対して、本人自体のできることを増やしていこうという方法にABAがあります。
ABA(応用行動分析)は、例えばイルカのショーにも使われています。
簡単に言うと、イルカがジャンプを成功したら餌を与える、失敗したら罰を与えるということです。(罰を与えているのかは知りませんが)
そうすることにより、イルカは頑張ってジャンプを成功させようとします。
これを発達障害に当てはめると、好ましい行動をするとご褒美を与え、問題行動を起こすと罰を与える、ということになります。
これは発達障害に限らず、一般にも行われていて、例えばテストでいい点を取ると何か買ってあげたり、宿題を忘れると廊下に立たせたり、ということになります。
ただ、これを実践するには注意が必要です。
例えば、課題をやらせてできなかったときに罰を与えていると、課題自体を嫌がってやらなくなってしまいます。
しかし、難しく考えずに、ご褒美を与えるということだけを実践していけばいいと思います。
できないときは、手を取ってでも手伝って成功させ、ご褒美を与えると。
課題をやること自体を嫌がられないようにする必要があります。
課題をやらせる以外にも、会話のやりとりにも応用することができます。
我が家では、以下の本を参考にしました。
2-3.感覚の発達を促す「感覚統合療法」
難しい言葉ですが、簡単に言うと「楽しく体を動かして、感覚の発達を促しましょう」ということになります。
発達障害の子どもは、不器用でうまく体を動かせないことが多いです。
そのため、運動を嫌がる子も多いのですが、「楽しく」というのがポイントになります。
娘は、リトミックやトランポリンにも通っていました。
上記で分かると思うのですが、「感覚統合」は「療育」とは少し異なり、「できることを増やす」ことに直接効果があるわけではありません。
でも、家に閉じこもりがちな発達障害の子どもにとって、楽しく体を動かせる場所があるということは、とてもよいことだと思います。
2-4.薬物療法
一般的に発達障害は、薬で治りませんし、改善されません。
しかし、ADHDだけは改善されるようです。
薬を飲むと「治る」わけではなく、多動や注意欠陥が「改善」されるということですね。
ただ、副作用もあるらしいです。
知り合いのお子さんは、薬を飲むといつもとはまるで違うくらいに改善するのですが、食欲不振になってしまうそうです。
大好きな給食を食べたいのに食べられないというのは、本人にとってはつらいことですよね。
しかし、ASDの子どもを持つ親にとっては、薬で改善するというのは少し羨ましくもあります。
3.どの療育がよいのか?
「TEEACH」、「ABA」、「感覚統合」と書いてきましたが、ではどの療育が一番よいのでしょうか?
私はこれまでの経験を通して、療育の技法そのものよりも、「親が子どもと向き合う」ということが何よりも大切なことだと感じています。
決して綺麗事ではなく、ビデオやゲームに子どものお守をさせるのではなく(たまにはよいですが)、1日30分でも療育を通して子どもと向き合うことが最も子どもの発達を促すことができるのでは、と思います。
そうすれば、
- 子どもの状況をより理解することができます。
- 子どもが何を困っているのか分かるようになります。
- 子どもが何を求めているのか分かるようになります。
- 子どものために何をすればよいかが、分かってきます。
療育は「親が恥ずかしいと思うことをなくす」ためにやるのではなく、「子どもの生きづらさを減らしていく」ためにやるものです。
子どもが毎日楽しく笑って過ごせるための助けになるべきです。
ネットや本で発達障害に関する知識を収集することもよいですが、子ども本人と一緒に過ごす時間が何事にも代えがたいものだと思います。
発達障害の子どもは周りから理解されないことが多く、自信が持てず自己肯定感が育たないことがあります。
親が子どもと笑って愛情を示すことによって、そんな子どもが「自分はこれでいいんだ」と自信を持って行動できるようになればよいと思います。
4.まとめ
発達障害の治療法というよりは、療育についてまとめました。
どの療育にも言えることですが、しっかりと子どもと向き合うことが大事ということですね。
できることを増やそうとして、厳しく課題をやらせても逆効果です。
親が楽しみながら一緒にやることで、子どもも楽しくできると思います。
子どもとしっかり向き合いましょう!
そして、子どもの自己肯定感を養うことが大事です。
そうすれば例え今は手がかかるだけでも、きっと可愛い一面を見せてくれるようになりますよ!
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